こんにちは。編集部の深水です。
私は毎朝、その日しなければならないことを小さなメモ紙に書き、ズボンのポケットに忍ばせて、家を出ます。この習慣はいつはじめたかよく覚えていませんが、4~5年位続いています。
大したことを書くわけではありません。洗濯する、公共料金を支払う、血圧を計る、食材は何を買う、日用品は何を買う、そういうことを記入します。スマートフォンやシステム手帳で管理する人もいるでしょうが、私の場合はメモ紙に手書きします。
そんなささやかな習慣に関連して、大きな感銘を受ける出来事がありました。それは、今年2月に発行されたシナプスの笑い49号に掲載された、投稿者の一之宮泰成さんの体験記です。すでに読まれた方もいらっしゃるでしょうが、一部抜粋します。
体験記「僕のメンタルの整え方」 ペンネーム 一之宮泰成
“僕は古今東西のさまざまな教えを学んできた。聖賢(徳がすぐれ、かしこい人)も数え切れないほどいる。メンタルを癒やすための一番良い教えとはなんなのだろうか。答えはシンプルに「今を生きる」にたどり着いた。
大半の悩み事は、荘子の「送らず迎えず」に説明されるように、過去のトラウマを蒸し返したり、未来の行く末を心配したりするのに端を発している。今日という枠の中でその日にすべきことを書き出して、それをできる範囲でこなしていく。昨日までの失敗はフィードバックして、同じミスを繰り返さないように努める。未来の懸案事項はどうしたらいいのか、TODO(やるべき事)を一覧にして備えておけば安心だ。その日一日を全うするのに一生懸命になればいい。人生は計画どおりにはいかないから、TODOと違った流れになったら臨機応変に対処する。
オンオフをはっきりさせて、力を入れる時とリラックスする時を設ける。これが僕のメンタル安定策である。”
私が普段ぼんやりと考えていることが的確な言葉で文章化されたようで、深い共感を覚えました。文中の荘子の言葉についても調べ、以前、中井久夫先生も特集された、NHKの「100分de名著」の荘子のテキストも購入しました。この体験記は紙に印刷し、私の机の脇に置いていて、心の拠り所にしています。私のように、この一之宮さんの体験記を読んで、少しでも日々のヒントになればと思い、今回FBに書かせていただきました。ちなみに、「送らず迎えず」の意味は下記の通りです。
「送らず」とは、過ぎ去ったことをくよくよしてはいけない。
「迎えず」とは、これから来る未来をいろいろ思い悩まない。
「応じて」とは、その時その時に応じる。
「蔵ぜず」とは、心にしまい置かない、心にとどめ置かない。