編集部のエピンビです。
本の中で、外国に住んでいるとスーパーで安価な値段で刺身が買えたり、売られている魚の眼もきらきらしていたりすること、そういう日本での日常が夢のまた夢である、というようなことが書かれていて、ああ、そうなのか、と思った。
一方、隣国、韓国へ行くとキムチの種類が多く、もちろん安価であり、また人参茶も手に入りやすく、日本にはない棗(なつめ)のジュースも売られている。
台湾は台湾で、屋台があちこちにあって、活気がある。北京ダックを食べるだけのお財布事情になくとも、街の小さな店で十分おいしい。
そういうふうな感じでその場、その場で手に入りやすいものがある。
地元の鹿児島。桜島と西郷さんしかないという言い方もあるけれど、いろいろな場所で桜島が見えて、それだけで風景は引き立ち、その他のビル群やクスの木の街路樹、今は少なくなってしまったかもしれないけれど、カナリーヤシやワシントンヤシなど、そして場所によってはソテツなど南国独特の植物、もちろん日々のさまざまな雲たちも。そういうものが脇役になって主役の桜島を盛り立てる、その景観自体、何か気づかないところで心の滋養になっているのではないだろうか。
日常の中にいて、身近で手にすることのできる何かを棚卸しようとしている。