ケアメディア論  孤立化した時代を「つなぐ」志向

ケアメディア論  孤立化した時代を「つなぐ」志向

¥2,200

だれもが情報発信できる時代の倫理とは?
自殺や災害報道、病名告知の現場で、情報をいかに伝えるべきか?
ジャーナリズムと福祉の現場を経験した著者が、「伝えること」の歴史性を明らかにし、「ケア」という概念から、ソーシャルメディア時代における新たなつながりのかたちを提唱する。

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四六判(128×188ミリ)
250頁
定価 (本体2000円+税)
ISBN 978-4-910372-01-3 C0036
2020年12月11日発行

著者

引地達也(ひきちたつや)
1971年、仙台市生まれ。上智大学大学院文学研究科新聞学博士後期課程修了。博士(新聞学)。
毎日新聞社記者を経てドイツ留学。帰国後は、経営情報誌の編集者を経て、共同通信社入社。外信部、韓国・延世大に社命留学しソウル特派員。
退社後はメルボルンでオーストラリアの核問題を研究し、帰国後、大手金融機関の経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長など国際経験を生かした業務に従事。
東日本大震災でのボランティア活動「小さな避難所と集落をまわるボランテイア」をきっかけに、支援が必要な場所への活動を展開。
2020年4月、シャローム大学校から一般社団法人みんなの大学校を設立し「ウェブでつながる」を基本とした要支援者のための学びの場を展開。
現在、一般社団法人みんなの大学校代表理事、ケアメディア推進プロジェクト代表並びに季刊「ケアメディア」編集長、法定外見晴台学園大学客員教授など。

目次

はじめに ―新型コロナウイルスで可視化されたケア―
第1 章 広範なケアを必要とする社会背景
第2 章 ケアとは何か
第3 章 メディア・ジャーナリズムの視点からケアを考える
第4 章 ケアメディアの条件
第5 章 ケアメディアを支えるもの

本書より

ソーシャルメディアの浸透によりすべてが「つながる」「つながれる」時代において当事者とはすべての人、と認識することが必須である。
そのすべての中に記者も市民も含まれるという積極的で自覚的な意思、そして「つなぐ」という強い意識が、「ケアメディア」の土台の一つとなるはずだ

第1章では、ケアされるべき状態にありながら、それが成し得なかった象徴的な事例として
「自殺」を取り上げ、統計や傾向などからケアの必要性を考える。
さらに、ケアの対象として最も「分かりにくい」とされながら実は身近な存在である「精神疾患」の現状を明らかにする。
ケアされる対象としての彼らとメディアの関係を浮き彫りにしながら、日本社会におけるケアとメディアの認識を確認していきたい。

第2章では、「ケア」なる言葉がいかに生まれ、普及し、その本質は何かを哲学、倫理学から追究していきたい。
その上で看護学の視点を示し、日本と国際社会での「ケア」の取り扱われ方を確認する。
さらに精神障害者をテーマにした映画作品を取り上げて、その語られ方を考察。イタリアのバザーリア法にもふれ、ケアの幅を考える。

第3章は、メディアとジャーナリズムの本質を示すことで「ケアメディア」の可能性を考えたい。
ケアメディアに近い概念である米国のパブリック・ジャーナリズムに触れ、
日本におけるケアとジャーナリズムの先行研究である林香里の論考を中心に確認したい。

第4章は、ケアメディアの輪郭をクリアにするために、ソーシャルメディアの発展という「環境」を認識し、 ケアメディアに関わる人に求められる「倫理観」を示し、重要なポイントである。
「当事者意識」を取り上げて、「ケアメディアの条件」を浮かび上がらせたい。
特に当事者意識では24時間テレビへの批判や若者から絶大な人気を誇るバンド「SEKAI NO OWARI」を取り上げる。
またジャーナリズムにとって重要な「権力監視」についても、どのように担保できるのかを考えたい。

第5章で、ケアメディアを支える基本的な考えと合致する行動として、精神医療の手法である「オープンダイアローグ」を紹介する。
フィンランド発祥のこの手法には、ケアを考え、メディアとして実行する重要なキーワードが含まれている。
また、ケアメディアの素地として「市民型オペラ」のコミュニティが必要であることを示し、ケアメディアなる行動について、いくつかの項目にまとめた。
これはあくまでも素案であり、議論の出発点にしたいと考えている。

以上の流れをたどりながら、ケアメディアを概念化し、新しいメディア世界の中心で活動が展開できるよう一歩を踏み出したいと考えている。