新版 平成の歓喜奇兵隊 ―正育者は国の宝―

新版 平成の歓喜奇兵隊 ―正育者は国の宝―

¥1,870

障がい者ではなく、「正育者」(しょういくしゃ)と呼ぼう

山口県周南市にある「株式会社カン喜」。同社は殻付かきグラタンの製造で国内トップシェアを誇る農水産物加工会社だが、その躍進の背景にはピンチをチャンスに変えた障がい者(正育者)の雇用があった。その取り組みは、坂本光司&坂本光司研究室著『幸せな職場のつくり方―障がい者雇用で輝く52の物語―』(ラグーナ出版刊)などさまざまな媒体で紹介され、厚生労働省から障害者雇用優良企業の認定も受けている。

当時社長であった著者は、人手不足解消の切り札として障がい者雇用を始めたが、最初は現場とのあつれきなどもあって苦労の連続だった。創意工夫を重ねた末に同社の障がい者雇用率は50%を越え、現在は欠かせない戦力として活躍している。

障がい者は教育によって秘められた能力を引き出されて正しく育ち、健常者の成長にもつながるとの確信から、著者は障がい者を「正育者」と呼び、自らの事業を教育業として捉えている。その思想は、ボーイスカウト、両親の地域慈善事業、仏教、大学の恩師の教えなどさまざまな源流を持つが、正育者雇用を進める原動力となったそれらの本質について見つめ直し、正育者とともに生きてきた軌跡をたどりながら、自らの確固たる信念と地域社会振興への熱い想いを綴る。

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四六判(128×188ミリ)
256頁
定価 (本体1700円+税)
ISBN 978-4-904380-73-4 C0036
2018年4月8日発行

著 者

上坂 道麿

1935年、福井県生まれ。
国立東京水産大学経営学課程卒業後、太洋農水産株式会社に入社。 1982年八木邦彦氏とともに合弁会社八木ノースイを設立し、1987年障がい者雇用を始める。
2003年、合弁会社を解散して株式会社カン喜を設立。2010年厚生労働省から障害者雇用優良企業の認証を受ける。2013年ISO22000認証取得。
現在、特定非営利活動法人周南障害者・高齢者支援センター就労継続支援施設よろこび理事長、株式会社カン喜顧問。

はじめに(本文より)

(略)
今から約一五〇年前、高杉晋作は下関、功山寺で奇兵隊をつくり旗揚げをしました。その頃の山口県は長州藩といい、萩が政庁でした。徳川幕府の力が弱くなり尊王攘夷を革新派正義派とする意見と江戸幕府に恭順する上層部(俗論派)に分かれていました。高杉晋作は資金源として豪商、豪農、村役と手を結び百姓、町人、商人、僧侶すべての下層階級を兵隊にしました。職業軍人である武士集団、上層階級に対抗しました。
奇想天外の下層級の集団が不思議と上層階級の武士集団に勝ったのです。その後、幕府軍との戦いにも功績を残しました。意欲や教育によって強くなるのです。階級社会への戦いでもありました。
私は、一九八七(昭和六二)年、株式会社カン喜の前身である八木ノースイの時代から障害者(正育者)雇用をはじめました。本文で詳しく書いていますが、当時は円高の影響で輸出から輸入中心の経営体制に移行していた時代で、人手不足に悩まされていました。私は円高や資本主義社会に対抗するために意図せず奇兵隊を編成することになったのです。高杉晋作の奇兵隊と同様に、「障害者」は教育によって大きく変わっていきました。正しく教育することによって、正しく成長する姿を見て、私は彼らのことを「正育者」と呼ぶようになりました。
最初の正育者雇用から二七年がたち、歓喜グループ全体で健常者七〇名、正育者七七名(二〇一二年七月現在)となりました。国の法定障害者雇用率は二・〇%の雇用が義務付けられていますが、その法令を守っていない企業は日本全体の五七・三%で過半数にのぼります。当グループの雇用率は五二・三%で、山口県の雇用率を上げているのは当グループによるものです。二〇一三(平成二五)年一一月には数年かかって取り組んできたISO22000の認証を取得しました。こんな子に、あんな人に仕事はさせられない、危険だといわれた子たちがチャレンジして認証を得たのです。
(略)
高杉晋作の「奇兵隊」は残念ながら長続きしませんでした。しかし我が歓喜奇兵隊は日本の正育者雇用、教育を変えていきます。カン喜グループは正育者を義務ではなく、一人一人の力を認め教育するために雇用しています。そして今、日本の製造業はこの子たちで十分であると確証しています。
(略)

目 次

はじめに

第一部 正育者とともに無限の可能性を求めて
障害者(正育者)雇用と平成の歓喜奇兵隊
歓喜園
兄の教え ―長兄、岑夫の死を偲ぶ―
太洋農水産株式会社
八木邦彦氏について
八木ノースイ
ピンチを救った殻付かきグラタン
知的障害者(正育者)雇用をはじめた理由
株式会社カン喜を設立
カン喜とよろこび
カン喜グループ(カン喜とよろこび)の考え方
平成の歓喜奇兵隊出陣

第二部 報道記事
物づくりを通して人づくりを 企業理念としての障害者雇用を実践
一生涯一報恩 ―この道まっすぐ
企業と福祉の結びつきで大きな力
周南徳山カン喜、よろこびの里で障害者六二人
できることをさせて能力を引き出す
人物ルポ香風のごとく 徳山教会 上坂道麿さん(七六)
従業員の心をつなぐ無我の精神
障害者雇用で農業にも
カン喜が創業四〇周年 周南徳山・記念イベントに五〇〇人
大にぎわいの会場
二七年目 障害者雇用を先導
藤井律子議員(山口県議会)のホームページより
保護者からの手紙

第三部 正育者雇用の思想
はじめに
親心(仏様の心)
仏(法・自然)とともに生かされている私
この三界は我が有なり
み仏さまと私 ―立正佼成会での説法―
根本仏教 ―三法印について―
仏法と会社経営
若い世代に伝えたいこと ―須々万中学校立志式にて―
経営の心
経営と資本主義
水産経営コースで学んだこと
東京水産大学を出て、何を学び何がよかったか

第四部 西安を旅して
いつも仏様と一緒
夢をかなえた、西安への旅
正育者と呼ぼう

あとがき
カン喜グループ組織図
年表